1on1の記録は、どこまで残すべきか
1on1は詳しく記録するほど本音が出なくなります。残す3項目と残さない3項目の線引き、最初に本人と交わしておく記録の扱いの合意、原則として録音しないほうがよい理由と例外までを整理しました。
1on1の記録は、他の会議とは考え方が根本的に違います。
通常の議事録は「詳しく正確に」が原則です。しかし1on1では、詳しく記録するほど場が機能しなくなるという逆転が起こります。
なぜ書きすぎてはいけないのか
1on1の価値は、普段の会議では言えないことが出てくることにあります。
- 仕事の進め方への迷い
- チーム内の関係
- キャリアへの不安
- 上司への言いにくい要望
これらは、記録されて共有されると分かっていれば出てきません。「あとで人事に共有されるかもしれない」と思われた時点で、当たり障りのない会話になります。
そして当たり障りのない1on1は、双方にとって時間の無駄です。
何を残し、何を残さないか
残すべきもの
合意した次のアクション
「〇〇の研修に10月中に申し込む(本人)」 「△△案件のアサインを検討する(上司)」
1on1で話したことが実行されないと、次第に「話しても変わらない」と思われます。約束したことの記録は必須です。
本人の希望・関心(本人が共有を了承したもの)
「将来的にはマネジメントより専門性を深めたい意向」
これは異動や育成の判断に使う情報なので、記録する価値があります。ただし本人に確認したうえで残してください。
継続的に話している話題
「3回続けて業務量の話が出ている」
回数の記録は、問題の兆候を捉えるのに有効です。
残さないほうがよいもの
評価につながりうる主観
「意欲が低い」「成長が遅い」といった記述は、1on1の記録に書くべきではありません。評価は評価の場で、別の根拠に基づいて行うものです。
他者への言及
「〇〇さんとうまくいっていない」といった話は、記録に残ると当人に伝わる可能性があります。問題として扱う必要があるなら別の手順で扱い、1on1のメモには残しません。
「ここだけの話」として語られたこと
本人がそう前置きした内容は、記録しないのが原則です。記録するなら、その場で断ってください。
本人と合意しておく
もっとも確実なのは、最初に決めておくことです。1on1を始めるときに、こう伝えておきます。
「このメモは私(上司)が次回までに覚えておくために取ります。人事や他の人には共有しません。共有したほうがよいことが出てきたら、その場で確認します」
これがあるだけで、話される内容が変わります。逆にこの合意がないまま記録していると、相手は「どこまで書かれているか分からない」状態で話すことになります。
記録の型
シンプルで構いません。
■ 日時/相手
【話したこと】
・
【本人の関心・希望】
・
【次までのアクション】
| 誰が | 何を | いつまでに |
【次回話したいこと】
・
「話したこと」は箇条書きで数行に留めてください。逐語で書く必要はありません。
録音すべきか
1on1では、録音しないほうがよい場面が多いと考えます。
録音されていると分かった時点で、話される内容が変わります。1on1で得たい情報はまさにその「変わってしまう部分」なので、目的と手段が矛盾します。
例外は、本人が録音を希望する場合です。キャリア面談や目標設定など、後から双方が正確に確認したい内容であれば、合意のうえで録音する意味があります。
いずれにせよ、黙って録るという選択肢はありません。
メモを取る動作にも配慮する
会話中ずっとPCに向かって打ち込んでいると、相手は「記録されている」ことを強く意識します。
- 会話中は最小限のキーワードだけ書く
- 終了後5分で清書する
- 重要な話のときはいったん手を止める
手を止めるのは、「これは記録に残さない」という無言のメッセージにもなります。
まとめ
- 1on1は書きすぎると機能しなくなる特殊な場
- 残すのは「合意したアクション」「本人が共有を了承した希望」「繰り返し出る話題」
- 評価につながる主観、他者への言及、「ここだけの話」は残さない
- 最初に、記録の扱いを本人と合意しておく
- 録音は原則不要。するなら必ず合意のうえで
議事録の一般原則である「詳しく正確に」を、そのまま1on1に持ち込まないでください。場の目的が違えば、記録のあり方も変わります。