自治体・団体の会議録の作り方 — 公開を前提とした記録
審議会や管理組合の会議録は、第三者が経緯を検証できることが求められます。全文筆記と要点筆記の使い分け、発言者の表記3方式、録音から公開までの5工程と自動化できる範囲を整理しました。
自治体の審議会、学校の評議員会、マンション管理組合、業界団体の理事会。
これらの会議録は、公開されることを前提に作られます。社内の議事録とは、求められるものが根本的に違います。
以下は一般的な整理です。法令や条例に基づく作成義務・公開義務については、所属する組織の規程や所管部署にご確認ください。
社内議事録との違い
| 社内議事録 | 公開される会議録 | |
|---|---|---|
| 読む人 | 関係者 | 不特定多数 |
| 目的 | 次の行動につなげる | 経緯を説明できるようにする |
| 発言者 | 省略することもある | 明示が求められることが多い |
| 要約 | 積極的に行う | 恣意的な要約は避ける |
| 修正 | 柔軟に | 手続きが定められていることも |
最大の違いは、「なぜそう決まったか」を第三者が検証できることが求められる点です。
社内議事録は結論と次の行動が中心ですが、公開される会議録では議論の経過そのものに意味があります。
全文筆記と要点筆記
会議録の作り方には、大きく2つの方式があります。
全文筆記(逐語録)
発言をそのまま記録する方式です。
適する場面
- 議事の内容が争点になりうる
- 発言の正確性が重視される
- 条例や規程で定められている
負担
- 1時間の会議で数万字になる
- 作成に時間がかかる
- 読む側の負担も大きい
要点筆記
発言の要旨をまとめる方式です。
適する場面
- 会議の頻度が高い
- 内容が定型的
- 読み手が概要を把握できればよい
注意点
- 要約に作成者の判断が入る
- 「まとめ方が恣意的だ」という指摘を受けうる
使い分け
どちらを採用するかは、組織の規程で定められている場合があります。まずそこを確認してください。
定めがない場合、議題の重要度で使い分ける運用もあります。
発言者の明示
公開される会議録では、誰の発言かを明示することが多くあります。
表記の方法はいくつかあります。
- 氏名(「山田委員」)
- 役職のみ(「委員長」「事務局」)
- 記号(「A委員」)
組織の慣行に従ってください。 途中で表記を変えると、過去の記録との整合が取れなくなります。
一般傍聴者の発言など、個人が特定される情報の扱いには注意が必要です。会議録の公開範囲と、個人情報の保護のバランスを、規程に沿って判断してください。
作成の手順
1. 録音する
公開される会議録では、正確性の要求水準が高いため、録音は事実上必須です。
会議の冒頭で録音する旨を告げるのが一般的です。公開の会議であれば、傍聴者にも分かる形で行います。
2. 文字起こし
全文筆記の場合、ここが最も時間のかかる工程です。自動の文字起こしを使えば大幅に短縮できます。
ただし、
- 固有名詞(地名、施設名、条例名)は誤変換される
- 専門用語は正確に変換されないことがある
- 発言者の判別は確認が必要
そのまま公開できる品質にはなりません。 必ず人が確認してください。
3. 整形
読みやすさのため、次の処理を行うことがあります。
- 「えー」「あのー」といった言いよどみの削除
- 明らかな言い間違いの修正
- 重複表現の整理
どこまで手を入れるかは組織で統一してください。作成者ごとに基準が違うと、記録としての一貫性が失われます。
発言の趣旨を変える修正は行わないのが原則です。
4. 確認
発言者本人に確認を求める運用を取る組織もあります。
- 誤記の訂正のみ受け付ける
- 発言内容の変更は認めない
このあたりの取り扱いも、あらかじめ定めておくと後の混乱を防げます。
5. 公開
公開の方法と時期は、規程や慣行に従います。ウェブサイトへの掲載、閲覧に供する、請求に応じて開示するなど、形態はさまざまです。
効率化できるところ
作成負担が大きい業務ですが、削減できる工程はあります。
文字起こしは自動化の効果が最も大きい工程です。数時間かかっていた作業が数分になります。
テンプレートの固定も効きます。毎回同じ構成にすることで、整形の判断が減ります。
一方、確認と整形は人が行う必要があります。固有名詞、発言者の判別、公開してよい範囲の判断。これらは自動化できません。
外部サービスを使う場合
会議の内容によっては、外部に音声を出すことの可否を確認する必要があります。
- 非公開の会議
- 個人情報を含む審議
- 係争に関わる内容
公開が前提の会議であれば問題になりにくい一方、非公開部分を含む会議では慎重な判断が要ります。所管部署や規程を確認してください。
まとめ
- 公開される会議録は、第三者が経緯を検証できることが目的
- 全文筆記か要点筆記かは、まず規程を確認する
- 発言者の表記は組織の慣行に統一する
- 文字起こしの自動化は効果が大きいが、固有名詞の確認は必須
- 整形の基準を組織で統一し、趣旨を変える修正はしない
- 非公開部分を含む会議では、外部サービスの利用可否を確認
作成の負担が大きい業務ですが、負担の大部分は文字起こしに集中しています。そこだけ効率化すれば、残る作業は確認と整形に絞られます。