ライブ配信やウェビナーを文字起こしする方法と、その線引き
ウェビナーや決算説明会はタブ音声を録れば後からテキストにできます。私的利用と社内共有・公開の線引き、タブの音声も共有にチェックする4手順、本番前の10秒テストまで整理しました。
オンラインセミナー、ウェビナー、決算説明会の配信、業界カンファレンス。聞きながらメモを取るのは大変ですし、聞き逃した部分は戻れません。
これらはブラウザのタブ音声を録音すれば、後からテキストにできます。会議と同じ仕組みです。
ただし、会議とは違って著作権が関わる場面があります。手順の前に、そこから整理します。
まず線引きの話
以下は一般的な整理であり、法的助言ではありません。判断に迷う場合は専門家にご相談ください。
問題になりにくいもの
自分のための記録(私的複製)
自分が視聴した配信を、自分が後で見返すためにテキスト化する。これは私的使用のための複製として、一般に問題になりにくいとされています。
自社が主催した配信
自社のウェビナーやセミナーであれば、自分たちのコンテンツです。録画も文字起こしも自由に行えます。議事録として社内共有するのも問題ありません。
社内共有の可否
私的使用の範囲は「個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」とされています。会社での業務利用は、この範囲を超えると解釈されるのが一般的です。社内に配布する場合は、主催者に確認するのが安全です。
問題になりうるもの
文字起こしの公開・配布
他者の配信を文字起こしして、ブログやSNSに全文を掲載する。これは複製権・翻案権の侵害にあたる可能性があります。
要約であっても、元の表現に依拠した詳細なものは問題になりえます。
利用規約による制限
プラットフォームや主催者が録画・録音を禁止している場合があります。有料セミナーでは規約に明記されていることが多いので、申込時の規約を確認してください。
法律上は私的複製の範囲でも、規約違反は別途契約上の問題になります。
迷ったときの判断
その文字起こしを、配信者本人に見せられるか
自分用のメモなら見せても問題ないはずです。公開や再配布が前提なら、許諾を取るべき場面です。
手順
線引きを確認したうえで、実際の方法です。
ブラウザのタブ音声を録音する
配信を再生しているタブの音声を、そのまま録音します。マイクで拾うのではなく、PC内部の音を直接取り込むので、音質が落ちません。
- 配信を再生するタブを開いておく
- 録音ツールで「オンライン会議モード」など、タブ音声を取得する設定を選ぶ
- 共有するタブを選択する画面で、「タブの音声も共有」にチェックを入れる
- 録音を開始する
3のチェックを忘れるのが最も多い失敗です。 ここを外すと映像だけが記録され、音が入りません。
開始前に10秒テストする
配信が始まってから気づいても手遅れです。短く録って再生し、音が入っているか確認してください。
2時間のセミナーを録り終えてから無音だと分かったときの損失は大きく、しかも配信は繰り返せません。
PCの画面収録を使う場合
専用ツールを使わず、OSの機能で録る方法もあります。
- Windows:
Windows + G(Xbox Game Bar) - Mac:
command + shift + 5
Macの標準機能はシステム音声を直接録れません。別途オーディオドライバの導入が必要です。この点でつまずく方が多いので、対応しているツールを使うほうが早いことが多いでしょう。
文字起こしの精度を上げる
配信は会議より条件がよいことが多く、精度は出やすい傾向にあります。
有利な点
- タブ音声を直接取るので雑音が入らない
- 話者が1人か少人数で、同時発話が少ない
- 話し慣れた人が多く、発音が明瞭
不利な点
- BGMや効果音が入る配信は精度が落ちる
- 専門用語・固有名詞は誤変換される
- 複数人の対談では話者の判別が必要
BGMのある配信は苦手です。 音楽が主体のコンテンツでは、そもそも文字起こしに向きません。講演やトーク中心のものを対象にしてください。
実務で効く使い方
業界セミナーの記録
参加できなかった同僚に共有する、というのは社内共有にあたるので主催者への確認が必要です。一方、自分の理解のために要点をまとめるのは通常の範囲です。
自社ウェビナーの二次利用
もっとも活用しやすいのがこれです。 自社のコンテンツなので制約がありません。
- 文字起こしからブログ記事を作る
- Q&A部分をFAQページにする
- 参加できなかった見込み客に要約を送る
1時間のウェビナーから、記事が数本作れます。すでにある素材の再利用なので、新たに作るより効率的です。
決算説明会・IR配信
上場企業の説明会は多くが公開されています。自分の投資判断や業務のための記録は私的利用の範囲ですが、内容を要約して公開・配布するのは別問題です。
まとめ
- 自分用の記録は通常問題にならない
- 自社の配信は自由に使える(最も活用しやすい)
- 社内共有・公開は主催者への確認を
- 手順は「タブの音声も共有」にチェックを入れて録音するだけ
- 本番前に10秒テストする
技術的には会議の録音と変わりません。違うのは、他者のコンテンツを扱う場面があるという点だけです。そこさえ意識しておけば、聞き逃しの不安から解放されます。