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インタビュー調査の文字起こしをどう進めるか

· 株式会社リキッドブロック · 読了 4分

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この記事で分かること

質的研究のインタビューは、要約ではなく発言そのものが分析対象になります。事前の同意と倫理審査、2台で録る理由、逐語録の水準の選び方、整えてよい範囲、匿名化とデータ管理までを整理しました。

インタビュー調査の文字起こしは、会議の議事録とは目的が違います。

会議の記録は「何が決まったか」を残しますが、質的研究では発言そのものが分析の対象です。要約してしまうと、分析できるものが残りません。

以下は一般的な整理です。所属機関の倫理審査の方針や、指導教員の指示が優先されます。

録音の前に

同意を取る

口頭の了承だけでは足りないことがあります。 多くの機関で、次を含む説明と同意が求められます。

同意書は、インタビューの前に取ってください。 話を聞いてから「実は録音していました」は、研究倫理上あってはなりません。

倫理審査

人を対象とする研究では、事前の審査が必要な場合があります。所属機関の規程を確認してください。審査を通していないデータは、後から論文に使えないことがあります。

録音の実際

機材

2台で録ることを強くおすすめします。

インタビューは、たいていやり直しがききません。相手の時間を再度もらうのは現実的でないことが多く、失敗すればそのデータは失われます。

スマホ1台とICレコーダー1台、あるいはスマホ2台。どちらかが止まっても、もう片方が残ります。

置き方

相手と自分の中間に置きます。相手寄りに置きたくなりますが、自分の質問が拾えないと、何に答えているのか分からなくなります。

10秒テスト

録音を始めて10秒、両者の声が入っているか確認してから本番に入ります。この20秒を惜しんで1時間を失うのは、割に合いません。

逐語録を作る

どこまで書き起こすか

研究の方法によって変わります。指導教員や、採用する分析手法の作法に従ってください。

一般的には次の3段階があります。

水準 含めるもの 使う場面
完全逐語 言いよどみ、沈黙の長さ、笑い、相槌まで 会話分析など、話し方自体が対象
標準逐語 発言内容をそのまま。明らかな言い直しは整理 多くの質的研究
要点のみ 内容を要約 探索的な予備調査

多くの場合は標準逐語です。 ただし「えー」「あの」を残すかどうかも方法によるので、確認してください。

AIで下書きを作る

音声を文字起こしサービスに渡し、その出力を下書きとして人が直すのが現実的です。1時間のインタビューを完全に手で起こすと4〜6時間かかります。

ただし注意点があります。

3つ目は致命的になりえます。誰の発言かが逆になっていると、分析が根本から狂います。

整えてよい範囲

判断に迷いやすいところです。一般的には、

補完したくなる箇所には、[ ]で注記して、原文と区別できるようにします。

データの管理

匿名化

逐語録の段階で、人名・所属・地名を仮名や記号に置き換えます。

田中さん   → A氏
○○大学   → X大学
横浜      → B市

対応表は逐語録とは別に保管します。一緒に置いておくと、匿名化した意味がありません。

保管

外部サービスに上げるとき

文字起こしサービスを使う場合、音声が処理後に削除されるかを必ず確認してください。

これは研究倫理の問題です。協力者に「データは適切に管理します」と説明した以上、外部サービスの扱いもその範囲に含まれます。同意書に記載していない方法でデータを扱うことは避けてください。

判断に迷ったら、倫理審査の担当か指導教員に確認するのが確実です。

まとめ

  1. 同意は事前に、書面で。用途と保管方法まで説明する
  2. 2台で録る。インタビューはやり直しがきかない
  3. マイクは相手と自分の中間に
  4. 逐語の水準は、採用する分析手法に従う
  5. AIは下書きに使う。要約は使わない
  6. 話者が入れ替わっていないかを必ず確認する
  7. 方言・口調は標準化しない。補完は[ ]で注記
  8. 匿名化し、対応表は別に保管
  9. 外部サービスは、同意書で説明した範囲かを確認する

会議の議事録と同じ感覚で扱うと、分析に使えないデータになります。残すのは要点ではなく、発言そのものです。

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