コンサル・士業のヒアリングを「現状・課題・原因」に並べる
ヒアリングのメモは話した順に並ぶので、そのままでは提案や助言に使えません。現状・課題・原因の3つの箱の分け方、課題と原因を混ぜない見分け方、士業の相談での例、表から提案の骨子へつなぐ手順をまとめました。
ヒアリングのメモは、相手が話した順に並んでいます。
相手は、思いついた順に話します。困っていることの途中で数字の話が入り、原因らしき話が出て、また別の困りごとに戻る。そのままのメモでは、提案書も助言も組み立てられません。
この記事では、ヒアリングの記録を、「現状・課題・原因」の3つの箱に並べ直す方法を紹介します。
3つの箱
| 箱 | 入れるもの | 例(見積もりの回答が遅い会社) |
|---|---|---|
| 現状 | 事実と数字 | 見積もりの依頼は月40件。回答まで平均5日 |
| 課題 | 困っていること。あるべき姿との差 | 3日以内に出せず、失注が増えている |
| 原因 | なぜ課題が起きているか | 単価表が担当者ごとのExcelで、毎回確認の電話が要る |
現状は「今どうなっているか」、課題は「何が困るのか」、原因は「なぜそうなるのか」です。
3つの箱に入らない話もあります。 「来年は新しい事業を始めたい」のような希望や、雑談です。これは別の欄に残し、無理に箱へ入れません。
課題と原因を混ぜない
並べ直すときにいちばん迷うのが、課題と原因の区別です。
見分け方は簡単です。その話に「なぜ?」と聞いてみます。
- 「なぜ?」に答えがあるなら、それは課題(または、さらに上の課題)
- その答えのほうが、原因
失注が増えている
└ なぜ? → 見積もりの回答が遅い(=これも課題)
└ なぜ? → 単価の確認に毎回電話が要る(=原因)
└ なぜ? → 単価表が担当者ごとに分かれている(=より深い原因)
提案や助言で手を打つのは、いちばん下の原因です。「回答を早くしましょう」は課題を言い直しただけで、打ち手になりません。「単価表を1つにまとめましょう」なら、打ち手になります。
原因は「仮説」として置く
ヒアリングで出てくる原因は、相手がそう思っているだけのことがあります。表には、確かめたかどうかの印を付けます。
| 原因 | 誰が言ったか | 確かめたか |
|---|---|---|
| 単価表が担当者ごとに分かれている | 営業の課長 | 確認済み(ファイルを見た) |
| 新人が単価を覚えていない | 営業部長 | 未確認 |
「未確認」の原因に手を打つ提案は、外れることがあります。 次のヒアリングで確かめることとして残しておきます。発言者は、名前ではなく役割で書いておくと、提案書にそのまま使えます。
士業の相談でも同じ形が使える
税理士・社労士・行政書士などの相談でも、相談者の話は同じように混ざっています。
| 相談の例 | 現状 | 課題 | 原因 |
|---|---|---|---|
| 税理士:資金繰りの相談 | 毎月末に残高が足りなくなる | 支払いの遅れが出始めた | 入金が月末締め翌々月、支払いは翌月 |
| 社労士:残業の相談 | 月の残業が平均40時間 | 退職の相談が続いている | 繁忙期の人員の配置が決まっていない |
| 行政書士:許認可の相談 | 更新の期限が2か月後 | 必要な書類がそろっていない | 前回の申請の担当者が退職した |
並べてみると、相談者が最初に話した「困りごと」と、手を打つべき原因が違うことがよくあります。助言の質は、この並べ直しで決まります。
士業の面談記録には守秘義務が関わります。記録の扱いは士業の面談記録と守秘義務にまとめています。
記録から表にするまでの手順
1. ヒアリングを記録する
録音するときは、必ず先に伝えてからにします(会議の録音に相手の同意は必要か)。議事メモレックなら、文字起こし・要約・やることリストに加えて、話者を分けた記録がメールで届きます。誰が言ったかを表に入れるときに役立ちますが、複数人のヒアリングでは聞き分けが外れることもあるので、大事な発言は人が確かめます。音声は文字起こしが終わった時点で、文字起こしと議事録はメールを送った時点で削除されます。
2. 3つの箱に並べる
記録を読みながら、自分で表に移します。慣れれば、1時間のヒアリングで15分ほどです。
この並べ替えをAIに下書きさせる方法もあります。LB AI Prompt side bar は、AIへの指示のひな型を選んで、開いているAIに入れる Chrome 拡張機能です。ビジネス業務のタブにある「【コンサル】ヒアリングメモを「現状・課題・原因」に整理」は、メモを表の形に並べ、人によって言うことが違う点や、次に聞くことも挙げるコマンドです(有料プランのコマンドで、はじめの14日間は無料で試せます)。
ただし、クライアントの情報をAIに入れてよいかは、契約の守秘義務と、社内のルールで決まります。入れるなら、社名・人名・金額を伏せてからにします。書いた内容は弊社のサーバーには送られませんが、⚡ で入れた内容は送り先のAIのサービスに渡ります。詳しくはLB AI Prompt side bar の公式サイトへ。
3. 原因の欄は、人が直す
AIの下書きでも、自分で作った表でも、原因の欄は必ず見直します。 「なぜ?」をもう一度聞いて、いちばん下まで下りているか。確かめた原因と、相手の思い込みが混ざっていないか。ここは道具では代われない部分です。
表から、提案の骨子へ
3つの箱がそろえば、提案や助言の骨子はそのまま組めます。
1. 現状:見積もりの依頼は月40件、回答まで平均5日
2. 課題:3日以内に出せず、失注が増えている
3. 原因:単価表が担当者ごとに分かれ、確認に電話が要る
4. 打ち手:単価表を1つにまとめ、更新の担当を決める
5. 効果:回答を2日短縮。確認の電話を月〇件減らす
4と5は、3から出てきます。 原因があいまいだと、打ち手も効果もあいまいになります。
案件ごとの資料は、増えるほど探す時間がかかります。LB TAB Layers で、クライアントごとのグループに、相手の会社のサイト・業界の資料・前回の議事録を保存しておくと、▶ でまとめて開けます。すでに開いているページは二重に開きません。保存したタブは Chrome のブックマークに残る作りです。詳しくはLB TAB Layers の公式サイトへ。
まとめ
- ヒアリングのメモは話した順。そのままでは提案に使えない
- 現状(事実と数字)・課題(困りごと)・原因(なぜ)の3つの箱に並べ直す
- 課題と原因は、「なぜ?」と聞いて見分ける。手を打つのはいちばん下の原因
- 原因には、「確かめたか」の印を付ける
- 士業の相談でも同じ形が使える
- AIに下書きさせても、原因の欄は人が直す
次のヒアリングのあと、メモを3つの箱に分けるところから試してみてください。並べ直すだけで、次に聞くべきことが見えてきます。