採用面接の「記録」と「評価」を分ける — 面接官ごとのブレを減らす手順
面接のメモに「印象がよい」「物足りない」が混ざると、あとから評価の根拠を説明できません。面接の前・中・後の3段階で記録と評価を分ける手順、評価シートを先に作る理由、面接官のすり合わせの進め方をまとめました。
面接のメモを見返すと、こんな行が並んでいることがあります。
前職の話。印象はよい。主体性はやや物足りない。
この1行には、候補者が言ったこと(記録)と、面接官がどう感じたか(評価)が混ざっています。混ざったままだと、あとから「なぜ物足りないと判断したのか」を説明できません。
面接記録に何を残し、何を書いてはいけないかは、採用面接の記録の残し方にまとめました。この記事では、記録と評価を分けるための手順に絞ります。
混ざると何が起きるか
| 起きること | 理由 |
|---|---|
| 面接官ごとに評価がばらつく | それぞれが別の物差しで「よい」と書いている |
| 次の面接官が同じことを聞く | 何を確かめたのかが、記録から読めない |
| 不採用の理由を説明できない | 評価だけがあり、根拠の事実がない |
| 最初の印象に引きずられる | 先に評価を書くと、あとの事実がそれに合わせて読まれる |
いちばん気づきにくいのが4つ目です。先に「印象がよい」と書くと、そのあとの回答をよい方向に読んでしまいます。 記録と評価を分けるのは、この偏りを減らすためでもあります。
3つの段階に分ける
記録と評価を分けるには、時間で分けるのが確実です。
| 段階 | やること | 書くもの |
|---|---|---|
| 面接の前 | 評価の物差しを決める | 評価シート(項目と基準) |
| 面接中 | 事実だけを記録する | 質問と回答。評価は書かない |
| 面接の後 | ひとりずつ評価し、すり合わせる | 評価と、その根拠になった事実 |
面接の前:評価シートを先に作る
物差しは、候補者に会う前に決めます。会ってから決めると、その人に合わせた物差しになってしまいます。
評価シートには、項目ごとに「何ができていれば何点か」を書きます。
【項目】問題を解決した経験
5:自分で原因を調べ、関係者を動かして解決し、結果を数字で説明できる
3:解決に関わったが、自分の役割の説明があいまい
1:具体的な経験を挙げられない
【確かめる質問】
・これまでで、いちばん苦労した問題は何ですか
・そのとき、あなたは何をしましたか
ここはAIに下書きを頼みやすい部分です。候補者の情報がまだ要らないので、個人情報を入れずに済みます。
LB AI Prompt side bar は、AIへの指示のひな型を選んで、ChatGPT や Claude などに入れる Chrome 拡張機能です。ビジネス業務のタブにある「【人事】面接の質問と評価シート」は、職種・求める人物像・選考の段階を入れると、質問と評価シートの案を作るコマンドです(有料プランのコマンドで、はじめの14日間は無料で試せます)。書いた内容は弊社のサーバーには送られず、⚡ で入れた内容は送り先のAIのサービスに渡ります。
AIが作るのはたたき台です。項目と基準は、採用の担当者と面接官で話し合って決めてください。詳しくはLB AI Prompt side bar の公式サイトへ。
面接中:事実だけを記録する
面接中のメモには、評価の言葉を書きません。
× 主体性はやや物足りない
○ Q:いちばん苦労した問題は
A:納期の遅れ。上司の指示で、取引先への連絡を担当した
(自分で原因を調べた話は出なかった)
「物足りない」とは書かず、物足りないと感じた理由になった事実を書きます。括弧の中の「話は出なかった」も事実です。
メモを取りながら話を聞くのは難しいので、録音を考える会社もあります。録音するなら、候補者に必ず伝えて了承を得てください。 断られたら録音せず、断ったことを選考で不利に扱わないのが前提です。伝え方は会議の録音に相手の同意は必要かにまとめています。
議事メモレックで録音した場合、音声は文字起こしが終わった時点で(お支払いの前に)削除し、文字起こしと議事録はメールを送った時点で削除します。届いた記録は、選考の担当者だけが見られる場所に移し、保管期間を決めておきます(議事録の保管期間はどれくらいが適切か)。
なお、面接の記録を汎用のAIに貼って「この候補者を評価して」と頼むのは避けてください。応募者の個人情報を外部のサービスに渡すことになるうえ、評価の判断をAIに任せることになるからです。
面接の後:ひとりずつ評価してから、すり合わせる
面接官が複数いるときは、順番が大切です。
- ひとりずつ、評価シートに点数と根拠を書く
- 全員が書き終わってから、並べて見る
- 点数が2点以上割れた項目だけ話し合う
話し合ってから書くと、声の大きい人の評価に寄ります。先に書いてから並べると、それぞれの見方が残ります。
根拠の欄には、面接中の記録の行をそのまま写します。
【問題を解決した経験】2点
根拠:苦労した問題として納期の遅れを挙げたが、
自分で原因を調べた話は出なかった(記録 3行目)
根拠が記録から引けない評価は、話し合いの場で一度保留にします。 その項目は、次の面接で確かめる質問として申し送ります。
選考の資料をまとめて開く
選考が始まると、求人票、評価シート、面接の日程表、応募の管理画面と、開く画面が増えます。
LB TAB Layers は、タブをグループに分けて保存し、▶ でまとめて開ける Chrome 拡張機能です。「採用:営業職」のようなグループに、選考で毎回使う画面を入れておくと、面接の前に一度で開けます。保存したタブは Chrome のブックマークに残る作りで、残るのはページの場所とタイトルです。
候補者ごとの書類や評価は、応募の管理の仕組みの中で扱い、タブのメモに候補者の評価を書かないようにしてください。詳しくはLB TAB Layers の公式サイトへ。
まとめ
- 「印象がよい」は評価、「何を話したか」は記録。混ぜると説明できない
- 記録と評価は、面接の前・中・後で時間を分ける
- 評価シートは候補者に会う前に作る。AIに下書きを頼むなら、この段階で
- 面接中は事実だけ。「物足りない」ではなく、そう感じた理由の事実を書く
- 録音は候補者の了承を得てから。記録をAIに評価させない
- 評価はひとりずつ書いてから並べ、割れた項目だけ話し合う
記録と評価を分けると、面接官の数が増えても評価がそろいます。候補者にとっても、同じ物差しで見てもらえたという公平さにつながります。
選考の基準や個人情報の扱いは、法令や指針の改定もあります。具体的な運用は、社内の人事・法務部門や専門家にご確認ください。